てんかんの検査と診断について、整理しておきたい。
前の記事では、てんかんの原因や症状について書いた。
今回はその続きとして、てんかんを診断する時にどんな情報や検査が大事になるのかをまとめていく。
てんかんというと、「脳波を取ればすぐ分かる」というイメージがあるかもしれない。
でも実際には、脳波だけで全部が決まるわけではない。
発作の様子。
発作が起きた時の状況。
発作の前後に何があったか。
本人が覚えていること。
周りで見ていた人の情報。
脳波やMRIなどの検査。
そういうものを合わせて、総合的に判断される。
自分の場合も、発作中のことはほとんど覚えていない。
だから、発作の様子を見ていた人の話や、発作後の記録はかなり大事になる。
この記事では、てんかんの診断で見られること、よく使われる検査、発作記録の大切さについて、自分の体験も交えながらまとめておく。
※この記事は、自分の体験と公開されている資料をもとにした内容です。てんかんの診断や検査、治療方針は人によって異なります。医療的な判断については、必ず主治医や専門の医療機関に相談してください。
この記事で整理すること
- てんかんの診断で、どんな情報が見られるのか
- 問診や目撃情報が、なぜ重要になるのか
- 脳波検査で分かること・分からないこと
- CT・MRIなどの画像検査の意味
- 発作の記録や動画が役立つ理由
てんかんの診断は、発作の様子を見るところから始まる
てんかんの診断では、まず「どんな発作だったのか」が出発点になる。
どれくらい続いたのか。
意識はあったのか。
体のどこが動いたのか。
発作後に眠ったのか、ぼーっとしたのか。
こういう具体的な情報が、発作の種類を考えるための土台になる。
てんかんは、発作をくり返す脳の病気。
でも、発作の見え方はかなり多い。
全身がけいれんする発作もあれば、突然ぼーっとする発作もある。
体の一部だけが動く発作もある。
光が見えたり、匂いが変わったり、急に不安になるような発作もある。
だから、「けいれんがあるかどうか」だけでは判断できない。
大事:てんかんの診断では、検査だけでなく、発作の具体的な様子がかなり重要になる。
本人だけでは分からないことが多い
てんかん発作では、本人が発作中のことを覚えていないことがある。
自分の場合もそう。
発作中のことはほとんど分からない。
気づいたら横になっていたり、周りに人がいたり、あとから「発作があった」と聞かされたりする。
発作前の違和感なら覚えている場合もある。
でも、意識がない間に何が起きたかは、自分では分からない。
だから、家族、友人、職場の人、近くにいた人の情報がかなり大事になる。
どう倒れたのか。
どんな動きだったのか。
どれくらい続いたのか。
発作後に眠ったのか、ぼーっとしていたのか。
こういう情報があると、診察で説明しやすくなる。
問診で聞かれやすいこと
病院では、発作についていろいろ聞かれる。
これはただの確認ではなく、発作の種類や原因、てんかんかどうかを考えるために大事な情報になる。
たとえば、こういうこと。
- 初めて発作が起きた年齢
- 発作が起きた回数
- 最後に発作が起きた時期
- 発作が起きやすい時間帯
- 睡眠中か、起きている時か
- 発作前に前兆や違和感があったか
- 発作中の意識状態はどうだったか
- 手足や顔の動きはどうだったか
- 左右どちらかに偏った動きがあったか
- 発作は何分くらい続いたか
- 発作後に眠気や頭痛、筋肉痛があったか
- 舌を噛んだか
- けがをしたか
- 尿失禁があったか
- 家族にてんかんや発作の人がいるか
- 頭部外傷、脳炎、脳梗塞などの既往があるか
こう見ると、けっこう細かい。
でも、発作は毎回病院で起きるわけではない。
むしろ、病院の外で起きることの方が多い。
だから、普段の発作の情報がかなり大事になる。
病院で伝えられると助かる情報
いつ、どこで、どんな発作が、何分くらい続いたか。発作前・発作中・発作後の様子。このあたりを伝えられると、診断や治療の参考になりやすい。
目撃情報と発作動画が役に立つこともある
本人が覚えていない部分を補うために、目撃した人の情報はかなり重要になる。
特に、次のような情報は診察で役に立ちやすい。
- 急に倒れたのか
- 座ったまま動きが止まったのか
- 目は開いていたのか、閉じていたのか
- 目線がどちらかに寄っていたか
- 手足がガクガク動いていたか
- 体が硬くなっていたか
- 口をモグモグさせていたか
- 服や物をいじっていたか
- 呼びかけに反応したか
- 顔色や呼吸はどうだったか
- 発作後に眠ったか、ぼーっとしていたか
余裕がある状況なら、発作の様子を動画で記録することが役に立つ場合もある。
言葉で説明するより、実際の様子を医師に見てもらった方が伝わりやすいことがあるから。
どのタイミングで意識がなくなったのか。
体のどこから動き始めたのか。
左右差があるのか。
発作後の状態はどうだったのか。
こういうことは、動画で見ると分かりやすい。
ただし、撮影よりも安全確保が最優先。
危ない場所で倒れているなら、まず周囲の危険物をどける。
頭を守る。
時間を見る。
必要なら救急車を呼ぶ。
そのうえで、余裕がある場合だけ記録する。
注意:発作動画は診断の参考になることがあるけど、撮影より安全確保が先。
危険な場所にいる時や、呼吸・けがが心配な時は、撮影ではなく安全確保と救急判断を優先する。
脳波検査とは
てんかんの検査として、よく知られているのが脳波検査。
脳波検査は、頭皮に電極をつけて、脳の電気的な活動を記録する検査。
てんかんでは、発作に関連する異常な波が見つかることがあり、診断の重要な手がかりになる。
頭に電極をつける検査なので、痛みがある検査ではない。
検査中に眠ることもある。
光を点滅させたり、深呼吸をしたりして、異常な波が出やすいかどうかを見ることもある。
ただ、ここで大事なのは、脳波検査だけですべてが決まるわけではないということ。
脳波に異常が出ないこともある
脳波検査で異常が出れば、診断の大事な手がかりになる。
でも、脳波に異常が出なかったからといって、必ずてんかんではないと言い切れるわけではない。
発作と発作の間には、脳波異常が出ないこともある。
脳の深い場所から始まる発作では、通常の頭皮脳波に出にくい場合もある。
逆に、脳波に異常があっても、それだけでてんかんと決まるわけではない。
発作の実際の様子、病歴、目撃情報、画像検査、治療経過などを合わせて総合的に判断される。
大事:脳波で異常が出ないことがあっても、「絶対にてんかんではない」とは限らない。逆に、脳波異常だけで自己判断するのも危ない。主治医の判断が必要。
ビデオ脳波検査というものもある
てんかんの診断では、ビデオ脳波検査が使われることもある。
これは、発作時の映像と脳波を同時に記録する検査。
発作中の体の動きや意識の状態と、脳波の変化を合わせて見ることができる。
てんかん発作かどうか。
どんな発作型なのか。
発作がどこから始まっている可能性があるのか。
非てんかん発作との違いはどうか。
そういう判断に役立つことがある。
外来の短い診察だけでは分かりにくい発作もある。
その場合、専門施設で入院して詳しく調べることもある。
ただし、すべての人が必ず受ける検査ではない。
発作の状況や治療方針に応じて、必要な場合に検討される検査だと考えておくといい。
CTやMRIで脳の状態を見る
てんかんの検査では、CTやMRIなどの画像検査が行われることもある。
これは、脳に発作の原因になりそうな病変がないかを見るため。
たとえば、脳腫瘍、脳の形成異常、脳梗塞、脳出血、外傷後の変化などが関係している場合がある。
CTは、X線を使って脳の断面を画像にする検査。
MRIは、磁場を使って脳の構造をより詳しく見る検査。
一般的には、MRIの方が細かい情報を得やすいことが多い。
ただし、体内に金属がある場合や、ペースメーカーなどがある場合は、MRIを受けられない場合がある。
検査前の質問には、正確に答える必要がある。
どの検査を行うか、どれくらいの頻度で行うかは、主治医が必要性に応じて判断する。
CT・MRIの目的
発作の原因になりそうな脳の病変や構造の変化がないかを調べるために行われることがある。検査を受けるかどうか、どの検査が必要かは医師が判断する。
SPECTや脳磁図などの検査
てんかんの検査では、必要に応じてSPECTや脳磁図などが使われることもある。
SPECTは、脳の血流の状態を見る検査。
発作の焦点になっている部分の血流変化から、場所を推定するために使われることがある。
脳磁図は、脳の電気活動に伴う磁場の変化を測る検査。
異常な波が出ている位置を、より詳しく調べるために使われることがある。
こうした検査は、手術の適応を検討する場合など、より専門的な診断が必要な時に行われることが多い。
全員に必須の検査ではない。
必要性は、発作の種類、治療経過、手術の可能性、医療機関の設備などによって変わる。
基本的には、主治医や専門医が必要に応じて判断するものだと考えておくといい。
血液検査も大事になることがある
てんかんというと脳波やMRIのイメージが強いけど、血液検査も大事になることがある。
特に、抗てんかん薬を飲んでいる場合。
薬の副作用が出ていないか。
肝臓や血液の状態に問題がないか。
薬の血中濃度が適切か。
そういうことを見るために血液検査が行われることがある。
薬は長く飲み続けることが多い。
だから、症状がなくても定期的な確認が必要になる場合がある。
また、てんかんに似た症状の原因として、代謝異常や感染症などが疑われる場合にも、血液検査や尿検査が行われることがある。
「発作がないから検査はいらない」と自己判断するのではなく、主治医の指示に合わせて受けるのが大事だと思う。
てんかんと似た症状との鑑別も大事
てんかんの診断では、「本当にてんかん発作なのか」を確認することも大事になる。
てんかん発作に似た症状は、他の原因でも起こることがある。
- 失神
- 低血糖
- 不整脈
- 睡眠障害
- 片頭痛
- パニック発作
- 心因性非てんかん発作
- 一過性脳虚血発作
こうした症状は、見た目だけではてんかん発作と区別が難しいことがある。
だから、診断では発作の様子だけでなく、問診、診察、脳波、画像検査、血液検査などを合わせて見る。
一度てんかんと診断されていても、すべての発作っぽい症状がてんかん発作とは限らない。
逆に、脳波で異常が見つからないからといって、てんかんの可能性が完全になくなるわけでもない。
ここはかなり慎重に見ないといけないところだと思う。
注意:発作っぽい症状を自己判断で決めつけない。
てんかん発作に似た症状は他の病気でも起こることがある。気になる症状がある時は、医療機関で相談することが大事。
診断は「発作型」と「てんかん症候群」を考える
てんかんの診断では、まず、その発作がてんかん発作なのかを考える。
そのうえで、どの発作型なのかを見ていく。
焦点発作なのか。
全般発作なのか。
意識障害があるのか。
運動症状があるのか。
感覚や認知、感情の変化があるのか。
こうした発作型の診断が大事になる。
さらに、発作型だけでなく、年齢、脳波、画像検査、神経学的な症状などを合わせて、てんかん症候群として診断されることもある。
てんかん症候群が分かると、使いやすい薬や治療方針、今後の見通しを考える手がかりになることがある。
つまり、診断は「てんかんです」で終わりではない。
どんなてんかんなのか。
どんな発作型なのか。
どんな治療が合いそうなのか。
そこまで考えるために、検査や記録が必要になる。
こうした診断は専門の医師が行うもので、自己判断は難しい領域だと思う。
発作記録をつけると診察で話しやすい
発作の記録は、かなり大事だと思う。
病院で聞かれた時に、記憶だけで答えようとすると難しい。
発作がいつ起きたか。
何分くらい続いたか。
どんな状況だったか。
睡眠不足があったか。
薬の飲み忘れがあったか。
体調が悪かったか。
こういうことは、あとから思い出そうとしても忘れがち。
だから、スマホのメモでもいいから残しておくと助かる。
発作記録に書いておきたいこと
- 発作が起きた日付と時間
- 発作が起きた場所
- 発作前の体調
- 睡眠不足や疲れがあったか
- 飲酒があったか
- 薬の飲み忘れがあったか
- 発作の長さ
- 発作中の様子
- 発作後の眠気や頭痛、ふらつき
- けがの有無
- いつもと違う点
こういう記録があると、診察でかなり話しやすくなる。
「最近どうですか?」と聞かれた時に、何となく答えるより、記録を見ながら伝えられる。
主治医も全体像を把握しやすくなる。
発作の頻度や傾向を見るためにも役立つ。
発作の誘因も記録しておきたい
発作には、誘因が関係することもある。
もちろん、すべての発作で原因や誘因がはっきり分かるわけではない。
でも、睡眠不足、疲れ、ストレス、飲酒、薬の飲み忘れ、光刺激などが関係することがある。
自分の場合も、体調や生活リズムはかなり大事だと思っている。
発作が起きた時に、その前の日の睡眠や疲れを一緒に記録しておくと、あとから傾向が見えることがある。
「この時期は寝不足が多かった」
「薬を飲む時間がズレていた」
「疲れがたまっていた」
そういうことに気づけるかもしれない。
メモ:発作そのものだけでなく、発作前の生活状況も残しておくと、診察や生活の見直しに役立つことがある。
検査を受けても、すぐ全部が分かるとは限らない
てんかんの検査を受けたからといって、すぐに全部がはっきりするとは限らない。
脳波を取っても、その時に異常が出ないことがある。
MRIを撮っても、明らかな原因が見つからないこともある。
発作の回数が少ないと、診断に時間がかかることもある。
これは、検査が意味ないということではない。
てんかんの診断は、いろいろな情報を積み重ねて判断するものだから。
一回の検査だけで分からなくても、発作記録、再検査、治療への反応などを見ながら判断されることがある。
焦らず、主治医と相談しながら進めるのが大事だと思う。
自分の場合も、記録や周りの情報が大事になる
自分の場合、発作中のことはほとんど覚えていない。
だから、発作の記録や周りから聞いた情報はかなり大事。
どれくらい続いたのか。
どんな痙攣だったのか。
発作後にどれくらい眠っていたのか。
いびきみたいな呼吸をしていたのか。
けがをしていないか。
そういうことは、自分では分からない。
でも、あとから知ることで、自分の状態を把握しやすくなる。
発作時の対応については、前の記事でまとめている。
発作後の眠気や、いびきみたいな呼吸についてはこちら。
発作後に強い眠気が出る話。いびきみたいな呼吸をすることもある
診断や検査は、不安を減らすためにも大事
検査や診断という言葉は、少し重い。
脳波、MRI、血液検査、ビデオ脳波。
そう聞くと、不安になる人もいると思う。
でも、検査は怖がらせるためにあるものではない。
今の状態を知るため。
発作の種類を見極めるため。
似た症状との違いを見るため。
治療方針を考えるため。
今後どう生活するかを考えるため。
そういう意味で、検査や診断は大事だと思う。
一度の検査で全てが分かるとは限らない。
発作記録、再検査、治療への反応などを見ながら、少しずつ判断が積み重ねられていく。
分からないまま不安でいるより、分かる範囲を少しずつ増やしていく。
そのためのものとして考えると、少し受け止めやすくなる気がする。
まとめ
てんかんの診断では、脳波やMRIなどの検査だけでなく、発作の様子や目撃情報もかなり大事になる。
本人が発作中のことを覚えていない場合、周りで見ていた人の情報が診断や治療に役立つことがある。
脳波検査は、脳の電気活動の乱れを見るための大事な検査。
でも、脳波に異常が出ないことがあるから、それだけで全部を決めるわけではない。
CTやMRIは、脳に発作の原因になりそうな病変がないかを見るために行われることがある。
SPECTや脳磁図、ビデオ脳波など、より詳しい検査が必要になる場合もある。
抗てんかん薬を飲んでいる場合は、血液検査で副作用や血中濃度を見ることもある。
また、てんかんに似た症状の原因を確認するために、血液検査や尿検査が行われることもある。
発作っぽい症状には、てんかん以外の原因が隠れていることもある。
だから、自己判断ではなく、主治医や専門の医療機関に相談することが大事。
発作の記録は、自分の状態を知るためにも、診察で正しく伝えるためにもかなり役立つ。
いつ、どこで、どんな発作が、どれくらい続いたのか。
発作後にどうなったのか。
周りから見てどんな様子だったのか。
そういう情報を少しずつ残しておくことは、てんかんと付き合っていくうえで大事な工夫だと思う。
※この記事は、自分の体験と公開されている資料をもとにした内容です。てんかんの診断や検査、治療方針は人によって異なります。医療的な判断については、必ず主治医や専門の医療機関に相談してください。

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